最近はギター、ベース(以下:弦楽器)録りは宅録でライン録りで行い、その後レコーディングスタジオでリアンプするスタイルが定着してきて、スタジオで直接弦楽器を弾く機会が減ってきていると思います。
費用対効果では宅録でライン録りしてからリアンプをする事で、スタジオ費用を抑えられてコストパフォーマンスが良く、多くの方が取り入れているレコーディングスタイルです。
予算があってこその音源制作なのでコストパフォーマンスを考慮する事も大切な事です。
ただしレコーディングスタジオで弦楽器を弾いてアンプを鳴らすサウンドと宅録からリアンプするサウンドには違いがあり、今回はそのサウンドの違いを説明したいと思います。
宅録で収録するサウンド
宅録でライン録りする場合は弦楽器のケーブルをインターフェイスに繋いてDAWに録音して行きます。
その際に弦楽器のアナログ信号を必ずデジタルに変換(AD処理)する必要があ、AD処理はインターフェイスのチップの処理性能に依存しています。
昨今色々なメーカーからインターフェイスがリリースされて飛躍的なテクノロジーの進歩でビギナー用インターフェイスにおいてもAD処理のクオリティーも向上しています。
それと同時にDAWのサウンドエンジンも進化しており、今まで以上にインターフェイスのAD処理のクオリティーが顕著にサウンドに表れてるようになっています。
あまり品質が良くないインターフェイスでライン録りをすると、低品質なラインデータが出来上がってしまい、またラインデータのみではAD処理のクオリティーの差は見分けが付きづらい所もあります。(リアンプしてギターアンプで鳴らした際は顕著にクオリティーの差異は分かります)
宅録でレコーディングを行った後、宅録で収録したデータをスタジオに持ち込んでスタジオのインターフェイスからDA処理を行ってリアンプボックス(逆DI)を通って、初めてアンプに信号が届きます。
上記を踏まえると宅録からリアンプの場合、弦楽器からアンプへ信号が送られるまでに『宅録でのAD処理』、『スタジオでのDA処理』、『リアンプボックスでの処理』の3つの処理を通っています。
CPR STUDIOで収録するサウンド
CPR STUDIOでの弦楽器のレコーディング方法は弦楽器からAVALON DESIGN U5に信号を送ってU5でアンプ録りの回線とライン録りの回線をスプリットしています。
スプリットする理由としてはギター録りの場合、歪んだサウンドではアンプ録りで収録したデータにノイズも含まれているので、波形を見た限りではどこがどこだかわかりづらくなりますが、ライン録りのデータには余計なノイズがないので波形の状態が見やすく、またベース録りの際はライン録りとアンプ録りの混ぜてサウンドを構築する為です。
上記を踏まえるとスタジオでの収録の場合、弦楽器からアンプへ信号が送られるまでに『ダイレクトボックスでのスプリット処理』のみ処理を通っています。
(欲を言えばU5でスプリットさせない方がピュアなサウンドで収録出来ますが、DAW上での編集作業を考慮するとスプリットした方が効率的だと判断しています)
ADDAを繰り返す事でのサウンドの変化
宅録からリアンプの場合は少なくても1度はADDAする必要があり、1度ADDA処理を行うと確実にサウンドは変化します。
変化したサウンドの良し悪しは十人十色ですが、エンジニア観点で言うとADDAしていない弦楽器からの直接出力している信号の方が存在感があります。
CPR STUDIOで使用しているインターフェイスはAVID HD I/Oを使用しており、ADDAにおいても世界基準のクオリティーを兼ね備えていますが、それでもスタジオで直接弾く場合とリアンプの場合ではサウンドの変化は表れます。
ADDAを行っていない信号の方が密度がしっかりありオケ中でも埋もれないサウンドに仕上がります。
良質なサウンドでリアンプが出来る方法
ではどうしたら良いライン録りが出来るでしょうか。
大きくポイントが3つあります。
まずは1点目はインターフェイスのクオリティーを上げる事が優先度として高いです。
CPR STUDIOでは現行機種の中からRME Babyface Pro FS、 Universal Audio Apollo Twin MkIIの2台をオススメしています。
上記2台はAD処理はレコーディングに耐え得るクオリティーを持っており、CPR STUDIOのエンジニアも自宅作業用として使用してもレコーディング業務に支障のないクオリティーです。
決してお手軽な価格ではありませんが1度手に入れると無くてはならない機材になります。
特にRME社のインターフェイスのドライバーは長期間サポートしているので、最新機種であれば短くても10年以上はドライバーのアップデートがかかるので長期的なコストにおいても割に合っています。
2点目は録音時はDAWをオペレートする方と演奏者を分ける事です。
1人でパソコンをオペレートしながら楽器を演奏すると、どうしても演奏に集中出来ずのクオリティーが下がってしまいます。
レコーディングスタジオではエンジニアが機材をオペレートして、プレイヤーの皆さんが演奏していますが、宅録環境でも同様にオペレートする方と演奏する方を分けた方がクオリティーが上がります。
最近ではリーズナブルな料金でレコーディングが行える作業ルームのレンタルもありますので、そちらを使う方も増えています。
3点目は弦楽器のコンディションです。
弦楽器の多くは木材を使用しており、日本のような高温多湿な状況下では定期的な調整が必要になります。
ピアノも長い期間置いてあるだけでピッチが変わってくるように、弦楽器も弦高調整やオクターブ調整など各種調整を行う必要があります。
特にレコーディングでは調整の有無が仕上がりに影響しているので、弦楽器の調整は必要不可欠です。
調整は自分自身で行える方はご自身でも良いですし、自信がない方はプロショップに持ち込んで頂ければと思います。
調整を行うだけでもかなり仕上がりが変わってくるので、調整を行っていない方は是非調整をオススメします。
貴重なレコーディングの時間を当日のトラブル対応に使ってしまわないようにすべきだと考えています。
まとめ
今回は宅録からリアンプ、スタジオで弦楽器を弾いたアンプ録りの違いをまとめてみました。
リアンプのサウンドの違いにフォーカスしている記事がなかったので今回記載させて頂きました。
今後も皆さんのお役に立てる情報を発信して行きますのでよろしくお願い致します。
上記に加えてCPR STUDIOのエンジニアはバンド経験者が多いので、楽器の状態が不安定であれば適宜お伝えしています。
例えばジャックの接触不良、オクターブチューニングの調整不良、アースが取れていない、などサウンドに違和感があれば、レコーディング時のサウンドが良くなるようにケアをさせて頂いています。
レコーディングの段階である程度トラブル対応出来ていればミックダウンなどでケア出来ますが、レコーディングの段階でトラブル対応が出来ていないとミックスダウンでケア出来ない事が多いです。
その辺も加味してレコーディングの段階で取り除けるトラブルはレコーディングの段階で取り除く方向で作業を行わせて頂いています。
CPR STUDIOでは皆さまのレコーディングに沿うプランを多数ご用意しております。
またレコーディング初心者の方もしっかりサポートさせて頂きますので安心してご利用頂けます。
皆さまからのご連絡をお待ちしております。
【CPR STUDIO】
HP:https://cpr-studio.jp/
Twitter:https://twitter.com/cpr_studio
Facebook:https://www.facebook.com/Cprstudio/
Instagram:https://www.instagram.com/cpr_studio_jp/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCNDqi4o6aFQCaBRXsEyj4eQ