レコーディング。それは、音楽配信、CD販売、YouTube動画、舞台音響など、『音』が使われているコンテンツを作る上で欠かすことのできない工程です。
そして、近年その影響度を増している動画は、映像と音声で作られています。
『音』のクオリティが動画の良し悪しの半分を決めると言えば、その重要性が伝わるかと思います。
今回は、映像・音声コンテンツ制作で重要となるレコーディングについて、初心者の方に向けてご説明致します。
記事を読み終わる頃には、あなたはもう初心者ではありませんので楽しみにしておいてください。
そもそもレコーディングとは何なのか
詳しい詳細を述べる前に、一つ考えて欲しいことがあります。
そもそもレコーディングとは何なのでしょうか?
レコーディングとは、『音を録る』ただそれだけのことを指します。
一般のイメージで言うと、豪華なスタジオで高価な機材に囲まれて、何かとんでもない作業を行うことを想像されるかもしれません。
しかし、スマホのボイスメモに何かを録音するだけの作業でも立派なレコーディングと呼べます。
近年ではリーズナブルで高品質なレコーディング機材が販売されていることもあり、1ルームマンションでレコーディング作業を行なっているクリエイターの方も多いです。
『知識』と『機材』と『音』さえあればレコーディングになるのです。
しかし、すでに述べたようにレコーディングの工程は作品の良し悪しを大きく左右します。
録るべき音、すなわち曲やナレーション用の原稿などがあったとしても『収録する目的とは異なる機材』を使ったり『正しいレコーディングの方法』が分からなければ、妥協した作品しか作ることはできません。
もちろん世の中には、リーズナブルな機材で素晴らしいコンテンツを制作しているクリエイターもいます。しかし、彼らは機材の価格に限らずどのように機材を使えば作品の良さを引き出せるのかを熟知しているのです。
機材の高い安いでは測れない品質を提供することができるからこそ、世の中の視聴者はそこに価値を見出します。
しかしながら、一般的に価値のないものから価値を生むパターンは稀であり、大抵は自己満足に終わります。
音楽は、聴く人がいて初めて成り立つからです。つまり、聴く人にとって価値がないと意味がないということです。
それでは、レコーディングにおいてその価値を上げるためには何が必要でしょうか?
私は、以下の2つがそうだと考えます。
・機材や録音環境の質
・レコーディングの知識の量
機材は高価なものを使えば、相対的にクオリティは上がります。
高価な機材を使う方法は色々あります。誰でも簡単に選べる方法としては、商業スタジオを利用するのがいいでしょう。質の良い機材が置いてあり、使い方を熟知したエンジニアがいるケースが大半です。そもそもスタジオエンジニアが扱うのなら、自分で使い方を把握する必要もありません。
知識は自分で学ぶか、精通する人の力を借りることで増やすことが出来ます。
こちらも商業スタジオを利用することで簡単に解決することができます。
映像・音声コンテンツの質は、レコーディングの質によって支えられているのです。
レコーディングで最初に考えるべきポイントとは
では、レコーディングをする際に考えるべき要点について考えてみましょう。
何をどこまで準備することができるのか、まずは自分自身についての情報を整理しましょう。
・予算
いくらまでなら予算をかけることができるのか、概算でいいので予算を決めておきましょう。
例えば、友達に手伝いを依頼するにしても、多少なりと謝礼を用意することになると思います。そのような場合もしっかりと予算として計算しておいた方が予定をスムーズに組むことができます。
・期間
この場合は、納期をいつに設定するかが重要です。
例えば、YouTubeに動画をアップするとなった場合を考えてみましょう。
曲はすでに完成している場合は、次のような流れになると思います。
・レコーディングに1日
・ラフミックスが上がるまでに1週間
・エンジニアとスケジュールを調整してミックス(マスタリング込)を行うのに1週間
・関係者に確認をしながら映像と合わせる作業で3日
これは1例ですが、この場合では2週間強かかる計算となります。
CDをプレスする場合、業者に発注するのでさらに2週間の期間が必要です。
作品のゴールを考えた上で、何をいつまでに行えばいいのか各工程の納期を設定しましょう。
そして、何事にもトラブルはつきものです。予定を1ヶ月後ろ倒しにする突発的なトラブルが起きたらどうなるでしょうか?
余裕を持った予定を組むことでリスナーへのイメージダウンを防ぐことができます。
次に、作業を行う環境についても考えてみましょう。
どういったものを作るかにもよりますが、レコーディングやミックスを行う場合は、大きな音が出せる環境で作業を進める場合が多いです。
音量による聴こえ方の違いは重要となるため、サウンドチェックは大きな音で確認する必要があります。
このためフリーのエンジニアであっても、作業時に商業スタジオを借りる場合が多いです。
では、どんなスタジオを選ぶべきでしょうか?
・レコーディングパックの有無
1時間単位でのレンタルも可能ですが長時間の作業ですと割高になるので、リーズナブルなレコーディングパックがあると予算的にも納まりが良いかと思います。
・立地
立会いが必要な作業の時間を考慮した上で、アクセスに問題のない立地かどうかは大事なポイントです。例えば、別作業の合間に立会い作業をする場合、移動時間が掛からない立地なのか等は案外忘れがちなポイントなので注意しましょう。
・作業実績
雑誌への掲載歴、有名な会社が運営元である等、一概には括れませんが一つの判断材料になります。
ある程度の規模であればインターネットに情報が載っていると思いますので、一度ネットで調べてみることをお勧め致します。
・口コミ
スタジオやエンジニアとの相性というものは以外に大事なポイントです。
利用したことのあるスタジオやお世話になったエンジニアについて、知り合いに聞いてみてもいいでしょう。
エンジニアも作業領域の得意不得意がありますし、スタジオに置いてある機材はある程度ジャンルを想定した取り揃えを行なっているものです。
例えば映画用のオーケストラのBGMを、パンクバンド御用達のスタジオでのレコーディングでは不向きとなります。
また、実績のあるスタジオであればWEBサイトがあると思うので、どういった作品を手がけているのかをチェックしてみるのもいいでしょう。サイトを見てみたら自分たちの作品とはかけ離れたイメージのものばかりだったなんてこともありますから、事前にリサーチしておきましょう。
具体的には何を準備すべきなのか
それでは、より具体的な準備について考えていきましょう。
以下では具体的に用意する必要のある項目をまとめています。各項目の捕捉も確認してしっかりと準備してください。
・オケデータ
いわゆるカラオケデータのことです。
ボーカル録りには必ずと言っても良いほど、必要なデータとなります。
バンドレコーディングの場合もクリック(メトロノームのようにリズムの基準を表現したガイド音)しかないとニュアンスを付けづらくなる場合もあります。仮録りでいいので、実際の曲のオケは用意しておきましょう。
・ガイドライン
特にボーカル録りの場合はオケデータとセットで用意しましょう。
歌うべき正しい音程が分かるとエンジニアの作業効率も上がります。
MIDIデータでガイドラインを作成してあるとレコーディング中に音程が変更しやすいのでオススメです。
wavなどの音声データの場合はメロディがはっきりと分かるデータがいいので、ピアノの音色や各DAWに付属のガイドライン用音色などで作りましょう。
・クリック
好きなクリックの音色は人によって結構変わりますし、パートによっても変わります。ギタリストが好きな音色は、ハットと帯域が被るからドラマーは嫌いなんてこともあります。現場でいきなり好きな音色を用意することは難しいですし、時間が勿体無いので、レコーディングする人に合わせて用意しておくといいでしょう。
・譜面
スタジオミュージシャンが利用するようなマスター譜のようなものがあるとベストですが、そこまでのものでなくても問題ありません。
大抵の場合、エンジニアは楽曲を初見で聴く事が多いので、曲がどのような構成になっているのか、何小節あるのか、テンポはいくつなのかなどの情報を知りたがっています。自分の曲だと意外に見落としがちですが『サビはどこなのか』を譜面で伝えてあげるだけでもエンジニアにとってはありがたいのです。
・仕上げたいイメージに近い曲
これはエンジニアとゴールのイメージを共有するために使います。
どういった出来上がりをイメージするかによって、マイク、マイクプリ、コンプレッサーなど使用する機材が変わります。
出来たら事前の打ち合わせなどでエンジニアに曲のデータを送って聴いておいてもらうと時間が節約できるでしょう。
なお、最低限CD音質のデータを送るようにしましょう。
44.1kHz/16bitで調べると音声データとCDの関係が簡単に調べられます。
簡単に言うとmp3音源は、CD音質を10分の1に削ぎ落としたものになります。
皆さんが作る作品は、CD音質以上の質の音楽です。
確かに、投稿サイトに動画をアップする時など、最終的にはmp3品質に落ち着くこともあるでしょう。
しかし、アップ元の音源を関係者にデータとして送る場合もありますし、なるべく良い状態のデータに触れるようにしてください。
mp3音源を聴いてもエンジニアはぼやっとしたイメージしか掴めないので、44.1kHz/16bit以上の質のデータを共有するようにしてください。
・ミックスに使用するデータサイズについて
打ち込みのデータをミックスに使用する場合は、最低でも48kHz/24bitのデータを用意しましょう。
前述の通り、良いものはいくらでも劣化させることが出来ますが、逆は出来ないからです。
さらに上の96kHz/32bitなどのサンプリングレートもありますが容量が結構大きくなってしまいます。データはどのサンプリングレートで用意するのか、事前にエンジニアと打ち合わせておきましょう。
また、その他にもどのような手法でレコーディングを進めるかによって考慮しておくべきことは変わります。
以下は、それぞれで記事を書ける程に専門性の高い事柄になりますので、ここではざっとした概要だけを書かせていただきます。
・リアンプを検討する
ギターやベースのレコーディングでは、宅録したデータをスタジオで実際にアンプから音を鳴らして再度録音するリアンプという手法が採用されることも多いです。
メリットとしては、自宅で好きな時間にデータを作成出来るので納得したテイクになるまで演奏することが可能です。
デメリットとしては、ミックスに使用する音は実際にアンプから鳴らした音になるため、想像の音に寄せてプレイするしかないと言うことです。
ハーモニクスやスラップなど、宅録の時の質感と実際のアンプから鳴らした音では乖離がある場合もあります。
リアンプに使用するアンプを実際に使用した経験がある場合は、ギャップをイメージで補完することが出来るため、リアンプではどのアンプを使用するのかデータ作成前にスタジオに問い合わせておきましょう。
・打ち込みデータを使用する
昨今は、シンセサイザー系のパートやリズムトラックは打ち込みで代用することが多くなっています。
自分で作成する場合は作業日程だけを考慮すればいいですが、外注する場合は日程調整や費用の見積もりも必要となってきます。
また、生ドラム風の打ち込みデータを使用する場合でも、トラック数は本物のドラムとほとんど変わらない場合があるので、エンジニアの作業量が増えることを考慮して予算や時間はどのくらい影響があるのかを確認しましょう。
打ち込みの有無に関わらず、ボーカルやギターは何トラック重ねるかなどある程度具体的な詳細をエンジニアに伝えておくことで、不用なトラブルを防ぐことが出来ます。
・レコーディングした素材からさらに素材を作成する
例えば、歌録りしたデータからハモリデータを作成したり、いわゆるケロケロボイスを作成するなど、レコーディング後にデータを持ち帰って加工、その後にミックスを行う場合などは、その日程を考慮してスケジュールを立てましょう。
また、そういった作業をエンジニアに頼みたい場合は事前の確認は行なっておきましょう。
どの手法を選択するにしろ、費用対効果、得手不得手、その手法でしか成し得ないゴールがあったりといったメリットデメリットがあります。
また、そもそも実現が出来るのかどうかも大きな検討材料になるでしょう。
自分の完成イメージや切れるカードから最善の方法を選択出来るよう、条件を紙に書き出すなり熟考することをお勧めいたします。
まとめ
ここまでお読みいただいたことで、レコーディングと言ってもやり方は千差万別であることが伝わっていることと思います。
出来ることなら、完成形のイメージ、予算、スケジュールなど詳細情報をまとめた資料まで作成するとスムーズな進行が行えると思います。
そうすることで、最初は手間や時間がかかりますが、最終的にコストカットや時間短縮を実現出来ることが多いのでぜひお試しください。
レコーディングをしてみたいと思ったら、あとはやるかやらないかだけですので、とにかく一歩ずつでいいので行動を起こしてみましょう。
この記事がその実現に少しでもお役に立てたのならそれ以上に嬉しいことはありません。
レコーディングはどうやってやればいいのか?
この記事を最後まで読んでくれた方ならもう分かっていることでしょう。
細かいことなどもしも忘れてしまったら、当記事を読んで思い出してください。
CPR STUDIOでは、初心者の方でも安心できるレコーディングのお手伝いをしております。
少しでも気になった方は、ぜひお問い合わせください。
また、色々と分からない点があればメールにてお問い合わせくだされば詳しくお答え出来ますので併せて検討していただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
初心者の方でも安心してレコーディングが出来るCPRスタジオはこちら
【CPR STUDIO】
HP:https://cpr-studio.jp/
Twitter:https://twitter.com/cpr_studio
Facebook:https://www.facebook.com/Cprstudio/
Instagram:https://www.instagram.com/cpr_studio_jp/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCNDqi4o6aFQCaBRXsEyj4eQ